シビックType-R (FL5) を所有して1ヶ月の感想 – Type-R (FL5) は「買い」か?
シビックType-R (FL5) が納車されて1ヶ月が経った。
Type-Rを購入しようか迷われている人に向けて、所有してからの感想を記載する。
結論
結論から記載する。
以下の条件に複数、もしくは全て当てはまる人なら「買い」であり、
✅スポーツ走行を楽しみたい
✅マニュアル車が好き
✅想定乗車人数が3〜4人
✅燃費は気にしない
✅(想定乗員含め) 硬い足回りでも平気
✅FF車も好き
✅荷物もそこそこ載せたい
逆に、以下のうち1つでも当てはまる人なら「買わない」方がよい。
❌スポーツ走行に興味がない (Type-Rを検討している人にそんな人はいないが笑)
❌想定される運転手が、マニュアル車が運転できない
❌想定乗車人数が5人以上
❌燃費を気にする
❌硬い足回りは苦手
❌FF車が嫌い (後輪駆動 or 4輪駆動フェチな方)
❌大容量の荷物積載量 (4人でゴルフに行けるレベル) を期待する人
スポーツ走行について
言わずもがなではあるが、シビックType-Rは高性能なスポーツカーであり、日本が世界に誇れるスポーツカーのうちの1台と言ってもよい。
その証拠に、シビックType-R (FL5) は2023年4月20日に、ドイツ ニュルブルクリンク北コース (ノルドシュライフェ) にて、市販車FFモデルで最速となる7分44秒881というラップタイムをマークし、市販FF車の世界王者に君臨している。
実際運転してみると、かなり「ハード」な車であり、その剛性感、接地感、ハンドリングの正確さ、足回りの硬さはなかなかの物である。
また、ドライバーのテンションを上げてくれる、嬉しい演出があるのもポイントが高い。
画像では見えなくなっているが、Super GTのマシンに搭載されているような、シフトアップタイミングのインジケータ用のLED (レッドゾーンが近づいてくると、ライトが1つ、2つと点灯し、シフトアップタイミングになるとピカピカと光るLED) も搭載されており、非常にカッコいい。
また、「INDIVIDUAL」モードでは、エンジン、ステアリング、サスペンションなどの特性を独立して個別に設定できるのも非常に嬉しい点だ。
例えば、エンジンサウンドは「+R」モードで気分を上げたいけど、サスペンションは乗り心地を重視して「COMFORT」にしたいというような設定も可能である。
そして、「レブマッチ (オートブリッピング)」のON/OFFも切り替えられるため、気分によって使い分けが出来るのもポイントが高い。
ポルシェではこのあたりの設定を細かく独立して変更することが出来なかったため、この機能には大満足している。
「INDIVIDUAL」モード以外にも、「COMFORT」「SPORT」「+R」の3種類のモードが存在する。
マニュアルトランスミッションについて
シビックType-Rを購入した大きな理由のひとつが、「MT車」がラインナップされていることだった。
私自身、歴代の車7台中6台がMT車であるくらいにはMT車が好きで、MT車を運転している時のあの「操作してる感」が楽しくてついMT車を選んでしまう。
シフトノブはカコンカコンと子気味良く入り、調子の悪いMT車にありがちな「引っ掛かり」は感じない。
クラッチも適度な重さで操作しやすく (ただし、ポルシェなどと比べると軽い) 、エンジン設定が「COMFORT」だとエンストしないようにエンジンを吹かしてアシストしてくれるので、MT初心者にとっても運転しやすいのではないかと思う。
そして、今回のType-R (FL5) からは、全速オートブリッピング (レブマッチング) に対応したことも、嬉しいポイントである。(オートブリッピングは邪道と思われる方はいるとは思うが、私は好き派である)
ただ、Type-Rのオートブリッピングはポルシェのように、エンジンが「ブォン!」と吠えればタコメータが「ピタッ!」と止まるような、気持ちの良い高速な反応をするものではなかった。これは、少々残念な点ではあった。(※ポルシェが少々異質なだけだが)
注意点としては、2024年9月現在では、Type-RはMT車しか存在しないため、もし想定される運転手がAT車しか乗れないのであれば、Type-Rは購入の選択肢から外れることになる。
家族で乗れる
Type-Rの乗車定員は4人なので、想定乗車人数が4人までの人にとっては、とても便利な車であると思う。
スポーツカーに良くある「後部座席はおまけ」ではなく、大人でもゆとりを持って乗れるレベルの広さが確保されている。
実際、身長181cmの私が運転席でドライビングポジションを取っても、その後部座席で大人が1人そこそこの余裕を持って座れる程には快適である。
ただし、乗車定員が「4人まで」というのが少々曲者であり、将来の悩みポイントとなっている。
Type-Rの後部の中央席はドリンクホルダーが据え付けられているため、人が座れない。
そのため、「もし子供が2人に増えた時、親と子のレイアウトはどうするのか?」という問題が生じる。
現在では、以下のようなレイアウトで乗車しているが、
【現在のレイアウト】
空 私
子 妻
将来子供が1人増えた時、以下のいずれかのレイアウトになってしまい、結果として「妻が2人の子供にアクセス出来るポジション」が取れなくなってしまう・・・。
【将来のレイアウト案1】
妻 私
子 子
【将来のレイアウト案2】
子 私
子 妻
我が家はまだ1児なので、この問題には直面していない。
しかし、数年以内に訪れそうな問題ではあるため、何かしら対策が欲しいところではある・・・。
(そしてもし3人目なんてことになれば、そもそもType-Rでは乗員数を満たせないという問題も生じる)
燃費について
ハッキリ言って、シビックType-Rの燃費は「悪い」 (それも驚くほど悪い笑)
ちょっと近所のスーパーまで・・・というような用途だと、燃費が4km/l台に突入することもザラにある。
実際、乗車時間10〜15分くらいの近場を乗り回す場面だと、以下の写真のように4.5〜6.5km/lあたりを推移する。
高速道路を巡航するような、例えば旅行のような場面では幾分マシ (8km/L〜10km/L) にはなるが、近年のエコカーのような低燃費 (20km/Lあたり) には決してならない。
正直、この燃費の悪さにはとても驚いた。
Type-Rの前に乗っていた、自然吸気4リッターエンジンの718ボクスターGTS4.0の方が、燃費は良かったように思う。
余談ではあるが、この燃費の悪さと相性の悪い点が、Type-Rにはある。
それは、燃料タンクの小ささだ。
本田技研工業の主要諸元によると、燃料タンク容量は47Lと記載されている。
(ちなみにコンパクトカーのデミオの容量は44Lなので、Type-Rの容量がボディサイズに対して小さいことが分かる)
実際の給油では、写真のように、警告灯が点灯してから給油すると、37L入れて満タンになる。
燃費の悪さと相まって、かなり頻繁にガソリンスタンドに行く必要があり、なかなかに面倒くさいと感じるのが正直な感想だ。
足回りについて
足回りはやはり「硬い」と思う。
この硬さは、ポルシェのような粘りのある柔軟さを兼ね揃えた硬さというよりは、言うなれば「カチカチ」な硬さに近い。故に、乗り心地は「良い」とは言えない。
過去に、いくつかのドイツ車 (BMW 135i、970パナメーラGTS、718ボクスターGTS4.0、Up!GTI) に乗って来たが、それらと比べるとやはり「カチカチ」だと思う。
ドイツ車と比べても硬いと感じるため、一般的な国産車と比べると遥かに硬いのは間違いない。(ただし、スポーツ走行が好きな人にとっては、この硬さが良いという評価になる可能性はある。ちなみに私はこのカチカチ感が好きである。)
例えば路面に段差がある場合、Type-Rの場合はとても硬質で、「ガン!」と突き上げてくる感覚だ。
それに対し、ポルシェは、確かに硬いのは間違いないが、粘度のある硬さ・・・とでも言おうか、いわゆるゴムっぽくもあり、「グン!」と突き上げてくる感覚である。
また、Type-Rの場合はボディ剛性が非常に高いため、それも相まって「カチカチ」に感じるのかもしれない。(Type-Rに乗っていると、頑丈な箱の中にいるような感覚になり、とても安心できる)
このボディ剛性の高さは、以前乗っていた970パナメーラGTS以上のように感じた。
FF車について
シビックType-Rは、市販車FFモデル最速を目指した車なので、FF車しか選択肢がない事は理解している。そして、非常に完成度が高いFF車であることも疑いようがない。
しかしやはりどうしても、Type-R (FL5) に関してはFR版が欲しいという気持ちも分かる。
何かのYouTube動画で、土屋圭一さんが「Type-R (FL5) のFR版が欲しいな〜〜」と言っていたが、正直これには同感だった。
シビックType-Rで初めて、ハイパワー、かつボディサイズが大きいFF車というのを体感したが、「ここまでハイパワーでボディが大きいなら、FR車の方が良かったのでは?」と思ってしまったからだ。
とは言うものの、本田技研工業がプライドを賭けて開発したFF車の傑作を、今後も楽しんで乗っていこうと思う。
荷物の積載量について
荷物は「まぁまぁ載る」レベルである。
ただし、トランクの両脇が後輪のホイールハウスによってかなり侵食されているため、意外と載せられる荷物は少ない・・・、というより、大型の荷物は載せにくいという表現の方が適切である。
ゴルフバッグなどの大型の荷物は、ホイールハウス部分が邪魔をするせいで、横置きし辛いように見える。(ゴルフバッグはまだ載せたことがないので、今度載せた時に写真を撮ろうと思う)
まとめ
ハイスペックなスポーツカーで、それでいて家族車としても使用可能な十分な広さを兼ね揃えている、万能カーだと思う。
そんな車が車両本体価格500万円で買えてしまうのだから、まさにバーゲンプライスとしか言いようがない。
実際所有してみて、この車がこの価格で抑えられている事に、非常に感銘を受けた。
まさに、本田技研工業の企業努力の賜物である。
繰り返しにはなるが、もしType-R (FL5) の購入を検討されている方で、以下の条件に複数、もしくは全て当てはまる人なら「買い」であると思う。
✅スポーツ走行を楽しみたい
✅マニュアル車が好き
✅想定乗車人数が3〜4人
✅燃費は気にしない
✅(想定乗員含め) 硬い足回りでも平気
✅FF車も好き
✅荷物もそこそこ載せたい